宮崎光由のドイツ住宅視察

ドイツ住宅視察
 2006年の3月に、ドイツのベルリンとフランクフルトを見て来ました。
 主な目的はベルリンで開催された「国際建築専門見本市」の視察でしたが、そのほか現地の専門家から省エネ住宅のレクチャーを受けたり、住宅展示場や新興住宅団地の視察、さらには一般の住宅を訪問することもできました。

見本市会場(メッセ・ベルリン)
見本市会場(メッセ・ベルリン)
会場内部
会場内部
新興住宅団地(ベルリン郊外)
新興住宅団地(ベルリン郊外)
その一角の現場・・・基礎断熱はあたりまえ?
その一角の現場・・・基礎断熱はあたりまえ?
築13年の木造住宅(フランクフルト)
築13年の木造住宅(フランクフルト)
壁の断熱は厚さ16センチ、自然換気とのこと
壁の断熱は厚さ16センチ、自然換気とのこと

ライン

省エネ住宅
 ドイツの住宅は特に町中ではアパート形式がほとんどで、基本的に石造やレンガ造です。リフォームやメンテナンスで何百年ももたせるわけですが、最近は新築の戸建住宅ではローコストでエコロジーということで木造の家も多くなっているそうです。
 住宅展示場の家はほとんどが木造のようでしたが、断熱性能は相当高そうです。
いくつかのモデルハウスに置かれた壁の模型では、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材が15センチ以上、さらに繊維系や発泡系の断熱材が付加されてトータル30センチ以上のものが一般的!な壁でした。

住宅展示場(ベルリン)
住宅展示場(ベルリン)
そこの1軒に置いてあった壁の見本
そこの1軒に置いてあった壁の見本

 レギュラーガソリンが1.21ユーロで上昇中、原子力発電の廃止も決まっているドイツでは、エネルギー政策が相当進んでいる印象です。
 フランクフルト市エネルギー局の担当者の話では、2002年からドイツの新築住宅はエネルギー消費量90kW/F・年が義務づけとのこと。
 日本の次世代省エネルギー基準では熱損失係数でQ=1.6以下ですが、換算するとQ=1.4以下の家に相当します。当然壁が厚くなる訳です。
 北海道でもQ=1.0(キューワン)の住宅が建ち始めていますが、寒さに関して北欧なみの北海道ですから、いずれこのレベルの住宅が普通になっていくのでしょう。

 現在のドイツではさらに高性能の窓や熱交換換気を利用して、その10分の1のエネルギー消費量をめざす「パッシブハウス」が目標で、2006年現在このクラスの高性能住宅(アパートを含む)が、ドイツ全土で約6,000戸あるそうです。

ライン

気になる技術など

  1. 窓シャッター
    多くの家に付いていたのが窓のシャッターです。窓の外につく形で、電動・手動とあるようです。北海道では、冬の雪と凍り付きの問題が解決されれば、日照の制御や窓の断熱補強が期待できる部品のように思います。
    住宅展示場にて
    住宅展示場にて
    新築現場にて(壁厚の中に巻き込まれます) j
    新築現場にて(壁厚の中に巻き込まれます)

  2. 窓の納まり
    壁の断熱材が厚くなると窓の取り付け方も変わってきます。今後は、性能はもちろん取り付け・取り外しのしやすい形状にも配慮が必要になってくると思います。
    壁面からこんなに奥まって取り付くようになると、今の樹脂サッシの形状では対応が難しくなります

  3. 大きな窓
    日射は重要なエネルギー。大きな窓の家が目立ちました。
    窓が多いかなと思う程度ですが…
    窓が多いかなと思う程度ですが…
    ここまでくると冒険です
    ここまでくると冒険です

  4. 壁暖房
    訪問先の住宅で、間仕切り壁に温水パイプが埋め込まれていました。ブロック積みの壁そのものが蓄熱性のある「巨大な温水パネル」というわけです。この方法は住宅雑誌や暖房メーカーのカタログにも紹介されていて、一般的な技術のようでした。
    壁「パネル」にコントロールバルブも付いています
    壁「パネル」にコントロールバルブも
    付いています
    外壁一面に暖房パイプ
    外壁一面に暖房パイプ

  5. 備機器のカタチ
    海外商品で面白いのはそのカタチでしょうか。
    ボイラーといえどもちゃんとデザインしていました。
    これがボイラー!
    これがボイラー!
    この色!
    この色!
    よく見るといいデザイン
    よく見るといいデザイン
    庭の石ころの中には…
    庭の石ころの中には…
    ヒートポンプの熱交換機が入ってます!
    ヒートポンプの熱交換機が入ってます!